ボクの街にはデパートがあった。それはそれは立派なデパートだった。
そのデパートは、ボクが生まれたた二年後に誕生した。 ボクが小さかった頃は、ときどき家族で食事に行った。生まれて初めて、チーズが乗っているハンバーグステーキを、そこのレストランで食べた。衝撃だった。 学生のとき、地下の食品売り場でお歳暮の発送のアルバイトをした。そこで色んな人と出会ったり、失敗したり、怒られたり、お客さんに感謝されたり……そのデパートの中を、少しだけ知れたような気がした。 ボクが大人になると、そのデパートで洋服を買うようになった。 好きなブランドもできて、そこの店員さんとも仲良くなって、ファッションの疎いボクに色々と教えてくれた。 ちょっとした贈り物が必要なときには、地下の食品売り場にたくさんのおしゃれなお茶菓子が待っていた。 雑貨を買うときは、店員さんの商品の知識の豊富さに頭が下がった。そしてその品質の良さに満足していた。 買い物をした帰りにそのデパートの紙袋を持って歩いているときは、ちょっと気分が良かった。 そのデパートが誕生してから43年後、そのデパートは閉店することになった。ボクの街からデパートが無くなるなんて考えたこともなかったから、それを聞いたときは衝撃だった。 しょっちゅう行ける訳ではなかったけど、そこに存在する安心感があった。ボクの街のシンボルだった。 最終日はあいにくの天気だったけど、だくさんのお客さんで賑わっていた。ボクもその中で少しだけ買い物をして閉店の時を待った。 無くなると本当に寂しい。でも、今までありがとう、と心から言いたい。 2018年3月21日、ときおり雪が混じる雨の降る日に、ボクの街のデパートは閉店を迎えました。 写真は、閉店の4日前に撮影したものです。
by tara-ex
| 2018-03-25 11:51
| 音・映像
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